T&Y in神戸

「由香利ーーー」
「……また、落ち込むよ?」
胸に響く由香利の声。
「ああ、いいよ。」
「何度も言うよ?」
「覚悟してる。」
「面倒くさくならない?」
「面倒くさくなったら、そのときは言う。」
大丈夫だと伝えると、小さな手が背中に回る。
「……ホテルは、嫌い……ゴシップの写真を思い出すから。」
「ああ。」
「フロント、慣れてるのも嫌だった。」
「それは、勘弁してくれ。」
「?」
「お前の前で、フロントでもたつく様なカッコ悪い真似はしたくない。」
「じゃあ、それは許す…」
「ーーーどうも。」
許すと言われて思わず顔が緩む。

「ここで……」
由香利がぎゅっとしがみつき、したくない…と遠慮がちに呟いた。
「ん、しない。」
「……。」
俺の即答に由香利は恐る恐る顔を上げた。

「折角、神戸に来たのに、半日ベッドから出れない上に、歩けなくなったら困るだろ。」





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