食卓
「ショコ、帰るよ。

餌も食べなきゃ」

女の子はそう言うと、

私に会釈をして

公園から出ていった。


私はその場で手を振った。



女の子の姿が見えなくなって、

私はひとり、ため息をついた。


「餌も食べなきゃ、か」


お姉ちゃんの顔が浮かぶ。


…行きたくない。

段ボールの要塞に入る瞬間

いつも感じるあの切なさ。

…行きたくない。





公園では、

まだ男の子が

見えない悪に向かって

剣を振り回していた。
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