食卓
「なんかいいことあったな?

もしくはなんか悪いことあったか」


部長の言葉を聞いて、

喧嘩したお姉ちゃんと

絆創膏を貼るお父さんの顔が

同時に浮かんだ。


「はあ…」


ぴぴぴ、という

ルーレットの電子音に

負けるぐらいの声量で答える。


「そうか」


ルーレットが止まる。


《7777》


《ぴぴぴぴぴぴ!!》


当たり。



部長はふ、と笑うと

再度、缶コーヒーのボタンを押した。


「ま、仕事に身が入ってるのは

いいことだし。

これでも飲みな」


部長は取り出し口から

缶コーヒーを二つ取り出し、

そのうちの一つを私に手渡した。


「はあ…どうも」



部長は軽く笑って

オフィスへと歩を進めていった。



「…なんだったんだ」


そう言いながら、

私は缶コーヒーのタブを倒した。
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