愛なんてない



相良先生、気を使ってくれたんだ。


不器用だけどなんだか嬉しくなる優しさに自然と顔が綻んだ。


わたしは濡れた制服を脱いでスエットに着替える時に悩んだ。


下着……濡れて気持ち悪い。


肌に張りつく感触が嫌で、思い切って制服ごと紙袋に入れた。


制服は替えが家にあるし、明日は土曜日だから大丈夫だよね。


ため息を着きなからスエットを着込み、コタツに入ってしばらくして相良先生が戻ってきた。


「飯、食ってれば良かっただろ?」


「あ、はい。でも相良先生の好きなものを食べてしまったらいけませんから」


わたしがそう答えると、フッと相良先生は優しい笑みを浮かべた。


「そんな事気にするな。望月は普段から人に遠慮し過ぎなんだ。もっとわがままになっていいんだぞ?」


相良先生はそう言ってポフンとわたしの頭に大きな手を載せてくれた。


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