愛なんてない
でも。
なぜ京が悲しげな瞳でわたしを見るのか、わたしにはさっぱりわからない。
黙々とカップめんにお湯を注いだ京は、お箸を乗せてわたしに袋の中身を見せた。
「梅干しとおかかと昆布に鮭。案外和風好きなんですね、相良先生は」
おにぎりは鮭と決めてるわたしは、遠慮なくそれを奪ってピリピリと包装フィルムを剥がした。
「ああ、まあな。昔からおにぎりの具はその4つと決めてる」
「へえ、やっぱり具にもこだわりあるんですね。ならそれを食べられるカノジョは幸せだ、うん」