愛なんてない



京は有名なコンビニのビニール袋を手に提げたままドアを閉めてカギをかけた。


「腹減ったろ? 大したもんはないけど食うか?」


なんだかちょっとだけデジャブ。


わたしはどう答えていいか分からず、コクリと頷くとソファーの陰でゴソゴソと着替えた。


「カップめんは味噌味と醤油味どっちがいい?」


京がそんな事を訊いてくるなんて意外。


あんなに料理上手なんだから、てっきりインスタントは嫌いと思ってたのに。


わたしはクスクス笑いながら、「相良先生の好きなように」と答えた。


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