愛なんてない
なぜかドキドキした。
なんのドキドキかわからないけども。
わたしはわざと遠くから走ってきた風を装い、足を踏みならして派手にドアを開けた。
「ただいま戻りました! いやあ、暗くて怖かったし! 夜の学校ってどうしてこんなに怖いんだろ?」
ぶつぶつ言うわたしに、京はフッと笑んだ。
けれど。
それは決していい感情からの発露じゃない。
いろんな思いが絡まりあって、京自身も気付いてない心の襞が見え隠れしてる。
気のせいか、悲しみが一番重くて大きい。