愛なんてない



「望月は夜が嫌いか?」


タバコを灰皿に押し付けて消した京が訊いてきた。


「も、もちろん。わたし……お化けキライですから」


「望月……」


深刻そうな顔で京がわたしを見る。


「え、な……何でしょう?」


すると、京はスッとわたしの後ろを指差して言った。


「気のせいか? おまえの後ろに白い影が」


「え……きゃああああああっ!!」


振り向いたら本当に白く動くものがあり、わたしは思わず京にしがみついた。


「大丈夫だ。ただのカーテンだからな」



< 293 / 412 >

この作品をシェア

pagetop