愛なんてない



胃もたれなんて意外な言葉を聴いて、わたしは思わず吹き出した。


「やだ、京ったら胃もたれなんて。おじさんくさい」


「わ、笑うなっつの! 仕方ないだろ。むかしから胃は弱かったんだからな」


こういう時に拗ねた京はかわいい。


ぷいっとそっぽを向いて、絶対に目を合わせようとしないんだから。


「はい、ちゃんと覚えておきますね」


わたしはしっかりと心の中に書き留めた。


家族の健康管理はお兄ちゃんで慣れてるから、京の日常生活もこれからはわたしがちゃんとしなきゃ。




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