愛なんてない
でも。
もう止まらなかった。
弥生さんはしばらくわたしをじっと見やると、話すかどうか迷いが見られた。
「私がうかがうのも失礼でしょうが、あなたは? 京とどういうご関係でいらっしゃいますか?」
とうとう来た……。
どう答えればいいんだろう?
京とはずいぶん親しげな様子だけど、わたしのことを話してないのは明白だし。
わたしはとっさに考えついた話をした。
「あの……わたしは望月っていいます。きょ……相良さんとはお友達で……頼まれてご飯を作ってただけですから」
自分でも下手すぎる言い訳だったけど、この人が案外先生だって事もありうるから、用心に越したことはない。
「そう。どうりでお料理が上手なんですね」
わたしの下手すぎる言い訳にも、女性は気にする風もなく合わせてくれた。