愛なんてない
わたしは頭が真っ白になって、なにもなにも考えられない。
ただ、気になることは。
「どうして……わたしにこの話をしたんですか? 弥生さんも……京が好きだから?」
わたしは無意識のうちにそう呟いてた。
すると、弥生さんは案外あっけらかんと笑う。
「そりゃあ確かに私も京を好きだった時期もありましたけど、今は婚約者がいますから。
どうして話したかは……あなたの雰囲気が姉に似てたからですわ。
容姿や顔じゃない。醸し出す空気が……かしら?」