愛なんてない
望月 弥生。
最初は弥生と同じ名前だから、と気になる程度だったし、成績は可もなく不可もなく。容姿や振る舞いも平均的で特に目立つ生徒じゃなかった。
俺にとってもただの生徒のひとりに過ぎなかった。
あの日までは。
弥生が雨の中ずぶ濡れで夜道を歩いてた時。
いつもなら通り過ぎるだけだった。
だが。
弥生があまりに小さく見えて。消えてしまいそうに思えて。
それなのに、送って行こうとしても牙を剥いた猫のように逆らい拒絶した。
なんだコイツは、と思った。