愛なんてない
「京(きょう)だ。今だけは俺を京と呼べ、弥生」
「きょう……?」
「そう、京だ」
どうかしてる。
生徒と先生でこんなコト、本気なはずがないのに。
でも、わたしは熱に浮かされ、一瞬でも本気なのかと都合よく思うことにした。
先生がわたしを抱くのは戯れだとわかっているから。
誰もわたしに本気なんてなるはずないから。
だから、一時だけ本気のふりをしたわたしはOKした。
「きょう……京」
呼んでみたら案外すんなり来るな、なんて。あまりに滑稽な考えまで浮かんで。