小説家

…とまあここまでが榊先生の小説との出会いだ。



"「雇って下さい」"

というのはアルバイトのこと。

私は高校生になり公立の割と名門校と呼ばれる高校に入学した。

その日は、いつもの学校帰り。

私は榊悠先生の小説を買いに行くため、本屋に寄っていた。

と、そのとき

《…澪ちゃん?》

名前を呼ばれ、振り向いた先には、

《…!葵さん…!?》

《わーやっぱ澪ちゃんだあ!》

その先にいたのは、私の従兄弟の友達、
『杉田 葵』さんがいた。

葵さんは私の従兄弟の『桜田 玲央』と同じ大学で同じサークルの友達らしい。

《お久しぶりです!》

《おひさん♪まーまー可愛くなっちゃってー♡》

《葵さんも、相変わらずお綺麗で》

《もーかたっくるしいなあ》

バンっとやんわりと背中を叩かれた

ほんっと美形といいますか。

ショートカットでちょっとボブな感じの髪型。身長もすらっとした長身で。顔も整ってる。

さっすが読者モデル。

《今日は撮影かなにかですか?》

撮影で本屋にいるか。

自分で突っ込んでしまった。(´°ω°)

《ううん。今日はね、従兄弟の小説の発売日なのよー》

《小説!?小説を書かれてるんですか!?》

はー

《凄いなあ…》

《あはは、それは思うよ(笑)》

《なんていう方なんですか?》

小説好き歴9年。知らない小説家などいない。と思いたい…

変なプライドが心を揺さぶる。

《うんとね、"榊悠"っていうんだけどね、ペンネームは》



…え?

…えっ??

《"榊悠"、ですか?》

《うん♪だったはず!ペンネームは》

《ペンネームは、って…》

本名知ってる感じっすか。

…ってか従兄弟って言ったよね!?

《さ、榊悠さんと、従兄弟なん、です、か…?》

《うんっ!》

ええええええええええええええええええええええええええええええ!!!?

《わ、え、わ、あの、》

どどどどうしよ!なんかあのえっと…

《?どうかした?》

頭ん中がごちゃごちゃ…!

え、つまり、私の従姉妹のお友達の従兄弟があの、あの、あの榊悠ってこと!?

ああああああ

《…み、澪ちゃん?》

( ゚д゚)ハッ!

《あ、ご、ごめんなさい》

《あの、その、》


《さ、榊先生に、会わせて下さい!》

《え、優斗に?》

どうやら本名は"ゆうと"というらしい。

《わたし、その先生のだいっっっっふぁんなんですっっっっっっっ!!》

それからすぐに

《うん、そういうことならいいよ!》

そういって貰えた。
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