小説家
あれから沢山、葵さんから話を聞いた。
私が榊悠の大ファンだったことが嬉しかったらしく、色々なことを教えてもらえたのだ。
━━━━本名は『榊 優斗』。
一人暮らしで昔叔父が使ってた古い一軒家で暮らしてるらしい。
小説家は割と多忙な為、忙しくて家事に手が回らなく、仕方がなく葵さんが週3で手伝いに行ってるそうだ。
《あ、そうだー…澪ちゃんさ?》
《はい?》
《優斗の家政婦、やらない?週5でアルバイト感覚でいいんだけどさ》
…え、
《学校終わったあとに2時間ぐらい?洗濯とか料理とか掃除とか、身の回りのこと》
…ええっ!唐突…
《い、え!?》
《あ、やっぱりいや?そうだよね、今の時期はお友達と遊びたい時期だよね…》
って、いやそういう いえ じゃなくて!
《あ、いえ、ぜんぜん、構わないんですが!…》
《ほんと!?》
《あの》
待て、冷静になれ、澪。
あの榊悠先生のおそばにいられるんだぞ!?
+あわよくば先生の小説を一番に読める…!?
こ、これは、
やるっきゃない!
断る理由などなーーい!
《あ、ぜひ、や、やらせてください!》
《わーい!よかったあ。ちょうど私ももうそろそろ就職活動で忙しくなるんだあ。けどこれで安心して就活できる!ありがとう澪ちゃん!》
《就活…!頑張ってください!》
《うん、ありがと♪じゃあさっそく優斗に言っておくね♪…あ、ところで、家事とかって得意?》
《あ、得意分野です!》
昔から父も母も多忙で家に居ないことが多かった。
その分私はいつも一人で家事などをこなしていた。
幼い私にとってはとても寂しかった。
…まぁもう慣れっこだけど。
《それはよかった!それじゃ一応これが優斗の電話番号とメアド。それから、住所ね!》
いそいそとメモに書いてくれた。
綺麗な字。
美人は字も綺麗なんだなあ
《じゃあ、優斗のことは頼んだよ!》
《はい、任せてください!》