可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。
「………別に見せる予定とか、ないんだけど」
「ああ。俺がおまえに『勿体無い』とか『堂々と晒せ』っていったんだけどな。……やっぱそう言ったの取り消したくなるなんて、俺も大概勝手なヤツだよな……」
自虐するように苦笑して、渚はまたあたしを見つめてくる。その視線に、胸の奥もじわっと熱くなってくる。渚に見つめられるのは、なんでこんなに落ち着かないのに、なんでこんなに心地よくもあるんだろう。
なんとなくだんだん気恥ずかしくなってきて、目も合わせられなくなって、ふたりして俯いて黙っていると。
「うわー。見て見て、渚が美少女の湯上り姿見てサカってるよ、荒野」
「マジか、イヤらしいな、あいつ。イケメンの皮被ったスケベ野郎め。俺らが懲らしめるとするか」
にぎやかな声が聞こえてきて、渚がチッと鋭く舌打ちをした。
「黙れ腐れ単細胞どもが。べつにサカってねぇし」
渚が否定すると、居間から出てきた荒野さんと哉人くんは渚に絡みだす。
「いや、兄ちゃんの目は誤魔化せないぞ。おまえこの子見てうっとりした目をしてやがった」
「それに渚、今この美少女口説こうとしてただろ、『湯上り姿のおまえも超イイぜ!』とか言いそうな顔してた!」
「………してねぇし、言わねぇし、アホかおまえら」
「けど思ってただろ、『ほっぺが赤く染まってて色っぽいなあ』って」
「それとも『濡れ髪萌え!ツヤツヤで超カワイイッ!』って思った?渚、フェチっぽいとこあるしー」
「………おい。いい加減に消えろ、おまえら」
渚はげんなりした様子でかわそうとしても、お兄さんも弟さんもテンション高めにさらに言い募ってくる。