可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

渚は一瞬、ちょっと本気で鬱陶しそうな顔したけれど、器用にもすぐにその表情を引っ込める。

それからいかにもどうでもよさそうに、佐々木のことなんて軽くあしらった。




「……佐々木、おまえ女子かよ?こんな大勢でぞろぞろとか、かったりぃだろ」




王様に見放された佐々木は、王様じゃなくて七瀬を睨みつける。

それからあたしをちらりと見ると、また七瀬をにらんで蔑むように吐き捨てた。




「七瀬、おまえブス専?そんなに根暗ぼっちと一緒がいいなら自分だけ行けよ。何自分の悪趣味に水原巻き込んでんの?」

「………佐々木、俺は」




七瀬由太が口を開く前に、渚が派手に吹き出した。




「崎谷、今の聞いた?おまえブスとか言われてるぜ?」



あたしが無視して問題集を解きはじめると、佐々木がふて腐れたように舌打ちして。


ちらりと見ると、渚はにやにやたのしげに笑って、七瀬由太はすこしだけ戸惑った顔になっていた。




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