可愛げのないあたしと、キスフレンドなあいつ。

反論も同意もしないで問題集を解き続けていると。

結局あたしは渚と七瀬由太と同じ班だということに決まってしまった。




「班分け終わったことだし、あとは班長決めて、各班どこ回るか考えておいてくださーい」




難航するとでも思われていた班決めがあっさり終わって、委員の山根はいつにも増して無駄に明るい笑顔だ。



「じゃあ班長になった人は、今週中に『班行動予定表』をあたしか塩沢くんのとこまで提出してくださいね。コースや行き先に無理があると先生に承認貰えないから注意してよー!」



山根のその一言で、実習時間を使ったLHRは幕を閉じた。





まだ4限終了までは20分近くある。

本当だったらすぐに「どこへ行こう」とか「何食べに行く?」とかそんな話でクラスじゅう盛り上がるはずだ。

けどクラスメイトたちは遠慮がちに小声で話しながら、ずっとあたしたち三人をちらちら見ている。




あたしを見る視線には、女子からだけじゃなくて、佐々木みたいな渚のとりまきの男子たちからの嫉妬や反感も混じってる。




「……渚、俺たちもどこ行くか話し合おう」



渚に話しかける七瀬由太の声が聞こえてくる。

あたしは何も聞いてないフリして、シャーペンを解答へと走らせる。



< 39 / 306 >

この作品をシェア

pagetop