カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
「なぁ?このスーツにネクタイで大丈夫か?」


逸希は何度もお着替えして、鏡の前でファッションショーを繰り返す。


「早くしないと時間通りに行けないわよ」


「わかってる。でも、今日は人生最大のイベント。失敗は許されない」


「そうは言っても…逸希のコトは二人とも知ってるし、ウチに泊まっておねしょしたコトもあるし、失敗しても大丈夫よ」


「そんなコトもあったな…そう言えば、俺…お前の家にお泊まりしておねしょしたんだ…。忘れていた…」


逸希は頭を抱えて悲壮な表情になった。


嫌なコトを思い出せてしまったようだ。逸希はフリーズして暫く落ち込み、動かなった。


「おねしょのコトを憶えてるのは私だけよ。きっと…だから元気出して」


私はフリーズした逸希を必死に励ました。


「マジでヤバい…」


壁の時計を見て、ハッと表情を変えた。


「このスーツにネクタイでいいよな」

「いいからいいから…早く行きましょう」

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