カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
朝からアクシデントに見舞われて、出だしから躓いていた。


「『莉那さんを俺に下さい』『莉那さんを俺に下さい』・・・」


逸希はハンドルを握りながら、何度も同じ言葉を復唱する。


「逸希…信号赤よ」


「ん、あ・・・すまない」


逸希は慌ててブレーキを踏んだ。


「逸希も緊張するのね…」


「当然だ・・・」


私はペットキャリーに入った珠子を膝の上に乗せていた。


「さっきのブレーキで珠子驚いていたわよ」


「あ…悪い」


「しっかりしてよね」


「しっかりします」


逸希は、私に叱られてシュンとしながらもハンドルを握って実家までひた走った。







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