カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
資料棚の一番上のファイルを取ろうとしたが、手があと一歩の所で届かない。私は仕方がなく背伸びをしてファイルに手を伸ばした。


「!!?」


爪先立ちした私は急に体勢を崩した。


ファイルを手にしたが、そのまま椅子から落ちてしまった。


落ちると思った瞬間、そばに居た逸希が私のカラダを抱き止めてくれた。



「大丈夫か?どれが資料なのか?教えてくれたら俺が取るのに…無茶するなよ」



「ゴメンなさい…」


やんわりと抱きしめていた逸希の両手が急に私をギュッと抱き締めて来た。



「い、逸希!!?」



「怪我しなくて良かった・・・」



「わかったから…離して」



「少しだけ…このままでいさせてくれ」


「誰かが入って来たらどうするの!?」



あの夜の出来ゴトが記憶の中に甦る。


私はこの腕の中の温もりを知っていた。


逸希に抱き締められた時間はとっても長く感じられたーーー・・・




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