カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
俺は莉那の立案書に全て目を通した。

新商品は女性向けのサプリメント。


同性の視点からの細やかな戦略が伺い知れる。この立案書なら無難に会議でも通るだろうと思った。


俺は褒め言葉を添えて莉那の立案書に太鼓判を押す。


俺は部外者、この会社の過去を知らない。過去の商品のPR資料にも目を通そうと莉那に資料を頼んだ。


俺達は執務室を出て奥の資料室に入る。室内は薄暗く、少し湿った空気が漂っていた。


莉那はパンプスを脱いで、棚の前に置かれた椅子に乗った。


資料は棚の一番上に並んだファイルらしい。


届かないなら、俺が取ってやるのに。


莉那の身長では、椅子に乗っても届かないのか、爪先立ちして資料のファイルに手を伸ばした。


ファイルを手にしたのはいいが、バランスを崩し、フワッと莉那のカラダが宙を舞って俺に向かって落ちて来た。


俺は咄嗟に両手を伸ばして、彼女のカラダを受け止める。



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