これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
 別にほうっておけばいい。

 けれど、足元にすり寄ってくる猫と目の前で必死に助けを求めている女性。

 なぜだか、俺はこのひとりと一匹を放っておけなかった。

「どうして最後まで世話ができないのに、餌をあげたりしたんですか」

 俺は猫に手を伸ばして抱き上げた。

「すみません。なんだか放っておけなくて」

 反省はしている様子だ。その瞳は申し訳なさそうに俺を見つめていた。

 腕の中の猫の顎下に指を入れてやると気持ちよさそうに目を細めた。

 「仕方がありません。この猫は私が飼いましょう」

 「本当ですか!?」

 うつむきがちだった顔を上げて、さっきまで泣きだしそうな目をしていた瞳を輝かせた。

 「本当です。乗りかかった船ですから」

 「ありがとうございます。本当に親切にしていただいて……」

 彼女は俺の腕の中にいる猫に手をのばすと、頭をさすっている。

 「よかったね。行くところができて」

 そう言うとさっきまで、我慢していただろう涙が彼女の瞳からひとつポロンとこぼれた。
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