これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「ははっ、そっか進歩したな」

「進歩ですか?」

 なんかちょっと違う気もするけど、勇矢さんが楽しそうなので深くは考えないようにした。

 彼は袋の中から、サンドイッチを取り出して食べ始めた。

「今日は常務とご一緒じゃないんですか?」

 勇矢さんは常務とほとんど行動をともにしているから、お昼の時間に会社にいないことも多い。今日みたいな日は珍しい。

「あぁ、時間があるときまでアイツと飯食いたくない」

「常務とだと、美味しいご飯たべられるんじゃないですか?」

 接待も多いだろうし、噂ではかなりのプレイボーイだと聞いた。

 それならばお店も色々と知っているに違いない。

「美味しいって言うなら、恵とここで食べるコンビニのサンドイッチの方が美味いけどな」

 しれっと恥ずかしいことを言ってくれる。

 最近は私が赤くなるのを楽しんでいるみたいだ。

 あの日……ふたりの思いが通じあった日。その日以降お互いの呼び方が変わった。二宮さんが恵になり、高浜さんは勇矢さんと変わる。そして彼の話し方も変わった。以前少し聞いたことのあるちょっとぞんざいな言い方。

 でもそれが逆に私に気を許してくれている証拠だと思うと、それが嬉しくて仕方なかった。

 きっと彼の言う“本当の自分”をさらけ出してくれているのだ。
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