これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「勇矢さん……」

 何度か呼びかけてみるけれど、こちらを振り向いてもくれない。

 もしかして、彼のあの冷たい表情の原因が私にあるのかもしれない。

 ……でも昨日までそんな素振り、まったくなかったのに。

 彼の背中を見ていると、不安がどんどん押し寄せてきた。

 しかし今の私にできることは、彼の背中を追うことだけだ。

「勇矢さん!」

 彼の名前を何度か呼んだそのとき、彼の足が止まり、こちらを振り返った。

 そこはふたりが出会ったあの公園だ。

「どうしたんですか? いつもと様子が違います」

「すみません。急にこんなところにお連れして」

 またあの丁寧な話し方だ。彼が自分を突き放そうとしている気がして、涙がにじみそうになった。

「別にどこに連れていかれようとかまいません。でもどうしてそんな態度なのか教えてください」

 私は彼の腕に手をかけた。しかしそれを勇矢さんは反対の手でゆっくりと振りはらった。

「そんな態度? 私は丁寧にあなたを扱っているつもりですよ。綾上(あやがみ)恵さん」

 低い声が鼓膜を震わせた。
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