これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
「恵。もう一度、俺の隣で笑ってくれないか。これから一生かけて、ふたりで笑顔でいられるように努力する。だからこれからも、俺のそばにいてほしい」

 ギュッと抱きしめられて、耳元で勇矢さんの声が響く。

 私も自分の腕に力を込めて、勇矢さんを抱きしめた。

「私……勇矢さんの隣でだけ本当の自分でいられるんです。私も責任を取りますから……勇矢さんもこんなに好きにさせた責任、ちゃんと取ってください」

 耳まで赤くなる。だから私は絶対顔を見られないように勇矢さんの胸に自分の顔を押しつけた。

「……ありがとう。ここに戻ってきてくれて」

 回されていた腕がほどかれ、その手が二の腕をやさしくつかんだ。それまで必死で隠していた赤い顔が、勇矢さんにまっすぐに見つめられた。

「俺の……恵」

 彼が甘く優しく私の名前を呼んだ後……唇が重なった。

 優しく重なって離れた。しかしすぐにもう一度唇が奪われる。

 角度を変えて息つく暇もないようなキスは、それまで離れていたふたりの距離をうめるかのような激しさだ。

 いつの間にか背中に回された彼の腕に支えらえれて、私はやっと体制を保っている。それがなければ、もうきっとひとりでは座っていられない状態だ。

……もう離れたくない。きっと勇矢さんも同じ気持ちだ。

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