ハートロッカー

*ノーネーム*

まさか、出演料がこんなところで役に立つとは思ってもいなかった。

電車の中、移り変わる景色を見ながらあたしは思った。

「――いい天気だな」

雲1つもない青空に向かって、毒づくように呟いた。


――1週間だけ、三春さんに考える時間をあげます

1週間前のあの日、大政は店にきてそんなことを言った。

あの子は、一体何がしたいのだろう?

あきらめないとか、理解者になりたいとか、そばにいたいとか…そんな訳がわからないことを言っていたくせに、あたしに考える時間を与えるなんて。

大政は何を考えているのだろう?

そんな彼に対し、あたしも何を考えているのだろう?

…もう、訳がわかんない。
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