スイートな御曹司と愛されルームシェア
「はぁ? それは……」

 咲良は答えようとして思わず息を呑んだ。恭平が〝僕としては岡崎先生に残ってもらえるので、TDの決定を歓迎したいくらいなんです〟と言っていたことを思い出したからだ。

「どうやらわかったらしいな。英進会の方針に従って解雇されたあんたには、本来なら何の用もない。そんなあんたが失業せずに済んだのは、TDのおかげなんだ。感謝してほしいくらいだよ」
「TDはどうして私を? まさか翔太くんが……?」

 そう言いながら、咲良は胃の辺りがヒヤリと冷たくなるのを感じた。

「そもそも楢木の役割は、あんたをたらし込んで自分の言いなりにし、持ち分の非上場株式を自分に売却させることだった」
「それは嘘よ。翔太くんは一度も株式のことなんか話題にしなかったわ」

 首を振る咲良を、創太が目をすがめて見下ろす。

「そのようだな。あんたの株式をうちが所有することで、英進会の吸収合併を有利に進めるつもりだったのだが……あいつがもたもたしていたせいで、朝倉に先を越された。おまけに楢木は二週間前、突然社長室にやってきたかと思うと、創智学院のこれまでの講師を全員残したい、と言い出した。あいつも俺に大きな借りを作ったもんだ。あんたみたいな女にいったい何の情が移ったのやら……」

 そう言って創太が頭の先からつま先までじろじろ見てくるので、咲良の頬にカッと血が上った。
< 122 / 185 >

この作品をシェア

pagetop