スイートな御曹司と愛されルームシェア
「あいつは自分の母と俺たちの父の結婚を何よりも望んでいる。二人の結婚を俺たちが認めるためなら何だってするそうだ。英進会の吸収合併が片付いたら、あいつにはうちの株主企業の社長令嬢と見合いをして結婚してもらう」
「な、にそれ」
「あの企業はうちの大株主だ。強固な絆を築く必要がある。そのぐらい役に立てば、楢木を戸田家の一員として迎えてやらなくもない」
「そんな……もうこれ以上、利用しないで……」

 咲良は弱々しい声でそう言いながらも、もう誰が誰を利用しているのかわからなくなっていた。創太が翔太を利用しているのか、翔太が咲良を利用していたのか……。

「そう思うなら、見合いをぶちこわしに来るか? 〝私を騙したのね、ひどい男っ〟て。そうして見合いがつぶれるのもまた一興。俺としては社長令嬢と楢木の結婚がうまくいかなくても困らない。かえって楢木を戸田の家から追い出す口実ができるというものだ。戸田の名前に泥を塗ったってね」

 咲良の目に熱いものが浮かび、視界がにじみ始めた。創太が咲良に顔を近づけて低い声で言う。

「なあ、あんたはどっちがいい? 楢木に弄ばれ捨てられたことを受け入れて、大人しく手切れ金代わりにつながれた仕事を続けるか、楢木の見合いをつぶして復讐するか」

 創太の嘲るような言葉も、どこか遠くから聞こえてくるような気がした。
 
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