スイートな御曹司と愛されルームシェア
「はい。で、お互いの家族の顔を立てながらこの見合いをうまく断るにはどうすればいいか相談しているところに、当の彼氏が乗り込んできたので、びっくりしたんですよ」

 そう言って翔太がまた笑った。

 咲良はふと、ホテルのラウンジで見かけた男のことを思い出した。長い前髪の間から、鋭い眼差しでホテルの中庭を睨んでいた男……。

「もしかして、その彼氏って黒の革ジャンに破れたジーパンの人?」

 咲良の言葉に翔太が目を丸くする。

「どうして知ってるんです?」
「や、えと、その……」

 まさか見合いをこっそり覗いていたとは言えなくて、咲良は言葉を濁す。

「もしかして、咲良さんもあのホテルに来てたんですか?」
「あ、えと、たまたまね。あの、ほら、お兄さんに教えられて」
「ふぅん」

 翔太が意味ありげに微笑んだ。咲良をからかおうとしているのだろうか。

「何よ」

 咲良が赤く染めた頬を膨らませると、思いもよらず翔太にギュッと抱きしめられた。

「俺のことを気にしてくれてたんですね。嬉しいです」

 素直に言われて、何も言えなくなった。そっと彼の背中に手を回すと、翔太が顔を上げて言う。

「まだ何か訊きたいこと、ありますか? 俺、もういい加減、我慢がききそうにないんですけど」

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