スイートな御曹司と愛されルームシェア
「そんな、話が違うじゃないですか」
「話?」
「そうですよ。咲良さんに〝うちにおいで〟って言われた後、俺が〝本当にいいんですか? 俺、行くところがなくて困ってたんです〟って言ったら、〝ラッキーは何も心配しなくていいの。私がずうっと面倒を見てあげるから〟って言ってくれたのに」
「嘘でしょ」

 咲良の声が高くなる。

「え?」
「私、昨日は酔っ払ってあなたに絡んだのかもしれないけど、それはたまたまで、いつもはもっときちんとしてるの。男を家に連れ込んで貢いだりするような性格じゃないって自覚してる。だから、悪いけどあなたの話は信じられない。それに、どう考えても普通おかしいでしょ。見ず知らずの女に〝おいで〟って、〝面倒を見てあげる〟って言われたからって、本気にしてノコノコついてくる? あなたヒモ?」

 咲良の言葉に、彼は心底悲しそうな表情になる。

「なんでそんな顔をするのよ。まるで私がひどいことを言ったみたいじゃないのっ」

 咲良はいら立ちを覚えて、ローテーブルを平手で叩いた。大きな音がして、彼の肩が驚いたように震える。

(何なのよ、もう、いったい、何なのよ)

「あなた、いくつなの」

 咲良が低い声で尋ねると、彼が小首を傾げた。

「昨日、話したんですけど……」
「知らない。覚えてない」

 咲良の口調が険しくなり、彼がしょんぼりと肩を落とした。

(ああ、もう、なんか私がいじめているみたいじゃないのっ。イライラするっ)

 咲良は深呼吸して口調を和らげてもう一度言う。

「あなたいくつなの?」
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