スイートな御曹司と愛されルームシェア
 いきなりドラマのようなセリフを言われ、咲良は言葉を失ってしまった。翔太は淡々と話を続ける。

「物心ついたときから父はいなくて、母に言われた通り、〝父さんは俺が小さい頃に死んだ〟と信じていました。大学生のとき、ゼミ旅行で海外に行くことになり、パスポートを作ることになったんです。戸籍謄本を取る段になって、母から俺が母親の戸籍に入っていることを教えられました。そして、その理由を説明されたんです。社会的に認められない相手と付き合って妊娠し、子どもを産む選択をして両親に勘当されたんだと」

 翔太は小さくため息をついて話を続けた。

「そのときに、実は父は生きていて、法律上の奥さんがいることを教えられました。父は大企業の優秀な社員で、母と出会う前、社長に気に入られてその令嬢と結婚したんだそうです。けれどその令嬢はワガママで気位が高く、息子が二人生まれたけれど、子育てをせずに自分の趣味にばかり金を使っていたそうです。父は婿養子で頭が上がらず、仕事に子育てに疲れ切っていました。そんなとき、新しい秘書が父の元にやってきました」
「その人が……あなたのお母さん?」

 咲良の言葉に、翔太はうなずいた。

「もちろん母も父も、最初は恋愛関係になるつもりなど毛頭なかったそうです。でも、仕事上のサポートをしているうちに、母は悩み苦しむ父を……慰めてあげたいと思うようになって……」
「それで男女の関係に?」
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