スイートな御曹司と愛されルームシェア
「そうです。でも、たった一度だけのことだったんだそうです。でも、それで俺を妊娠してしまい……母はいけないことだとわかっていたけれど……授かった命を……愛する人との子どもを生みたいと思ってくれたんです。でも、父の社会的な立場などを考えて、何も言わずに会社を辞め、父の前から姿を消した、と言ってました」
「そうだったの……」
彼にしつこく食い下がり、つらい記憶を話させてしまったことが申し訳なくて、咲良はつぶやくように言った。
「出産後、母は別の会社で働き始め、俺を一生懸命育ててくれました。小さい頃は遅くまで保育所に預けられ、小学校では暗くなるまで学童保育に通っていました。でも、寂しくはなかった。共働きで預けられている子たちと遊んだり、いたずらしたり……」
翔太が懐かしそうに目を細めて話を続ける。
「それから母と奨学金のおかげもあって、俺は中学、高校、大学と勉強と野球を続けることができました。卒業後は野球グッズのショップで働きながら、少年野球チームのコーチをしていました。それなりに毎日充実していましたよ」
翔太が咲良を見て小さく笑った。咲良は黙ったまま耳を傾ける。
「そんなある日、父が母を探し出して連絡してきたんです。会長兼社長だった妻の父が亡くなって後を継いでいたが、妻も亡くなったので、ふとキミのことが気になったんだ、と……。そうして父が会いに来た日、俺も母に呼ばれて父と対面しました。そのとき初めて俺の存在を知った父は、なぜ母が突然彼の前から姿を消したのか理解して、言葉を失っていました」
「それが一年前?」
「そうだったの……」
彼にしつこく食い下がり、つらい記憶を話させてしまったことが申し訳なくて、咲良はつぶやくように言った。
「出産後、母は別の会社で働き始め、俺を一生懸命育ててくれました。小さい頃は遅くまで保育所に預けられ、小学校では暗くなるまで学童保育に通っていました。でも、寂しくはなかった。共働きで預けられている子たちと遊んだり、いたずらしたり……」
翔太が懐かしそうに目を細めて話を続ける。
「それから母と奨学金のおかげもあって、俺は中学、高校、大学と勉強と野球を続けることができました。卒業後は野球グッズのショップで働きながら、少年野球チームのコーチをしていました。それなりに毎日充実していましたよ」
翔太が咲良を見て小さく笑った。咲良は黙ったまま耳を傾ける。
「そんなある日、父が母を探し出して連絡してきたんです。会長兼社長だった妻の父が亡くなって後を継いでいたが、妻も亡くなったので、ふとキミのことが気になったんだ、と……。そうして父が会いに来た日、俺も母に呼ばれて父と対面しました。そのとき初めて俺の存在を知った父は、なぜ母が突然彼の前から姿を消したのか理解して、言葉を失っていました」
「それが一年前?」