スイートな御曹司と愛されルームシェア
 どうにかしてお兄さんたちと円満な関係を築かせてあげられないだろうか。彼の力になってあげたい、孤独を理解してあげたい。そんなさまざまな感情が込み上げてきて、やるせない気持ちになる。

 そんな咲良を見て、翔太が真顔になったかと思うと、次の瞬間にはいたずらっぽい笑みを浮かべて言う。

「咲良さんが俺に居場所を作ってくれるんでしょう? 俺、どうせなら笑顔の女性のそばにいたいんですが」

 その言葉に、咲良はつい憎まれ口を叩いてしまう。

「また生意気言うよ、この子は」
「犬の次は子ども扱いですか」

 翔太が頬を膨らませてみせるので、咲良は思わず笑みを浮かべた。それを見て、翔太がホッとしたように口元を緩める。

「よかった。やっぱり咲良さんには笑っていてほしい」

 その言葉に不覚にも鼓動が乱れてしまい、咲良はわざと大げさに首を振った。

「あのね、やたらとそういうセリフを言うもんじゃないわよ、もう」
「すみません。咲良さんを動揺させるつもりはなかったんです」
「ど、動揺なんかするわけないでしょ」

 咲良はドギマギしながらも、翔太にいつものペースが戻ってきたらしいことに、心から安堵した。

「じゃ、これ以上遅くならないように、そろそろ行こうか」

 咲良が立ち上がって片手を差し出すと、翔太がその手を握って立ち上がった。大きくて温かい手だ。

(私がそばにいて守ってあげるからね)

 その想いを込めてキュッと手に力を入れると、同じようにキュッと握り返された。
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