スイートな御曹司と愛されルームシェア
「あんなに当たらないものだなんて思わなかったなー」

 ブツブツ言う咲良に、翔太が小さく笑って言う。

「テニスはあんなに上手なのにね」
「うるさいなあ。バットは細いから当たりにくいのっ」

 咲良の言い訳のような言葉を聞いて、翔太が小さく肩を震わせて笑った。

「ふん、笑いたければ笑えばいいのよっ。で、何奢ってほしいの? さっさと決めてっ」

 ふてくされ気味の咲良を見てさらに大きく肩を震わせて笑いながら翔太が指さしたのは、よくある大手ファーストフードのチェーン店。

「ハンバーガーがいいの? もっと高いものでもいいけど」
「いえ、温かくていい天気だし、公園で桜でも見ながら一緒に食べると楽しいだろうと思って」
「それもいいわね」

 もうすぐ失業する身としては、安上がりになりそうなことにホッとしながら、咲良は翔太とともにハンバーガーとフライドポテト、飲み物を買って、近くの公園に行った。

 平日であまり大きな公園でもないのに、ベンチや木陰にはたくさんの人がいた。子連れの母親グループがお弁当を広げたり、高齢者グループがビールを飲んで談笑したりしている。

 暖かい日が続いていたせいか、桜ももう五分咲きくらいだ。

 木の下は空いてなかったので、咲良と翔太は桜の見える隅のベンチに座った。

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