KISS

「・・・良くない!?
まあ無理だって解り切ってるから、好きにはならないけど。」


「よくな・・・」


「うわっ。走るの早いっ!!
ほらっ!!ヒナも見なよ。」


アヤカがあたしの話をさえぎって言った。


「・・・はいはい・・・」


そこには、陸上部の「緋崎レン」が居た。


速くて、風みたいに・・・
ううん。

嵐かな?

とにかく速かった。


「やっぱカッコイイなあー・・・」


「・・・・・・そうかな。」


「はあ?なんでそうなる訳?」


眉間にしわを寄せて詰め寄ってくるアヤカ。


「・・・なんか。ヤダ。」


「なんで!!」


「完璧すぎてさ。
なんかあたし、アイツ見てると自分がすっごく汚く思えるの。

だから、嫌。」


「・・・いいじゃん。過去でしょ。
遊んでたのは。」


「でも、それは消えるわけじゃないし。」


ああそう。
と、興味の無いふりをして、
アヤカは話をそらした。


「あ。そういえばヒロタカくんも陸上部だったね。」


アヤカの優しさだと思った。

< 8 / 228 >

この作品をシェア

pagetop