KISS
「・・・良くない!?
まあ無理だって解り切ってるから、好きにはならないけど。」
「よくな・・・」
「うわっ。走るの早いっ!!
ほらっ!!ヒナも見なよ。」
アヤカがあたしの話をさえぎって言った。
「・・・はいはい・・・」
そこには、陸上部の「緋崎レン」が居た。
速くて、風みたいに・・・
ううん。
嵐かな?
とにかく速かった。
「やっぱカッコイイなあー・・・」
「・・・・・・そうかな。」
「はあ?なんでそうなる訳?」
眉間にしわを寄せて詰め寄ってくるアヤカ。
「・・・なんか。ヤダ。」
「なんで!!」
「完璧すぎてさ。
なんかあたし、アイツ見てると自分がすっごく汚く思えるの。
だから、嫌。」
「・・・いいじゃん。過去でしょ。
遊んでたのは。」
「でも、それは消えるわけじゃないし。」
ああそう。
と、興味の無いふりをして、
アヤカは話をそらした。
「あ。そういえばヒロタカくんも陸上部だったね。」
アヤカの優しさだと思った。