彼が涙を流した理由
「…………………ん?」





目を開くと、そこは図書室のカウンターの席だった。





「あれ………あたし、なんでこんなところに……?」





「あ、起きた?」





カウンターを挟んで向かいの席に1人、裕之君がいた。





「裕之君!………あれ、あたし……」





そうだ。





あたし、確か裕之君と毛布にくるまって………





「ごめん!1人で毛布使って!!!」





「大丈夫だよ。あさひちゃんと一緒に寝れて、僕十分温かかったもん」





そう言ってニコッと笑う裕之君。





やっぱり、天然なんだな………





あの行動に、意味は、なかったんだね………





なんか、寂しいな





「ありがとう、ごめん。あたし、片付けてくるね」





あたしは毛布を持って、そそくさと図書準備室に入った。





裕之君が、少し悲しそうな顔をしていたから。





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