彼が涙を流した理由
「えっと……毛布は………ここかな」





“衣”と書かれている段ボールを開けてみると、





「えっ?」





そこには、毛布がもう1枚入っていた。





どうして…………





『どういたしまして。………ただ、毛布が1枚しかなくて…。』





あんなこと、言ったの……?





もしかして、裕之君も………





いや、ないない。裕之君は天然なんだから。





自分で“ないない”と言って、悲しくなった。





あたしはそっと毛布をしまうと、笑顔をつくって、図書室に向かった。






< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop