クロスストーリー
「…おぅええ……;;。」

勢いよく開けたものの、内部まで水に浸かっており、時間の経った海水独特の匂いで眼が眩む。
なるべく指の先っぽで持つようにすると、そのままリュックをひっくり返した。
…やはり中の物まで濡れていたが不幸中の幸いで、パッと見壊れているようなものは無いようだ。
ペットボトルに入った水、代え様なのか最低限の衣類が少し、そして…

「…なんでナイフなんか持ってたんだ?俺。」

他にも数点小物類が混じっていたが、一番眼を惹いたのは目の前にあるひと振りのナイフだろう。
それもキャンプや野外料理で扱うような小型のものではなく、大型で所々湾曲している。
まるで戦う為に造られたように…。

「…深く考えるのはよそう。」

一瞬「自分は犯罪者なのか?」と不安を覚えたが首を横に振るとその考えを払った。
鞘に収めそのままベルトに取り付けると他の物を探す。

「…食い物は無いか、とりあえず…乾かそ。」

残っていた荷物の中には簡単な衣料品はあったもの食料品は無かった。
晴れているし日はまだ高いので濡れたものを乾かすのには問題無かったが疲労の中このまま何も食べれないのでは体の方が持たない。

「釣り道具があるわけじゃないしな…砂浜じゃエビカニもいなさそうだし。」

仕方ない、とカミヤは背後に続いている林を見つめた。
小動物や…最悪木の実でもあるだろうとその辺にあった枝に衣類や荷物をかけ、ナイフを持ち上半身裸で林の中へと入って行った。
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