Kiss of a shock ~涙と~


「ごめんな、万理香」


父は、微笑んで万理香の頭を撫でた。


その笑顔は見たこともないほど、穏やかで優しげだった。


万理香が6歳か7歳の頃だ。


もう、何となく分かっていた。


不動産業をしていた父の事業がうまくいっていないということ。


父と母が何かを考えて、何かを決意したということ。


その夜、それを現実のものにしようとしている―


それに、図らずも気付いてしまったこと。
< 102 / 347 >

この作品をシェア

pagetop