Kiss of a shock ~涙と~
「それじゃ歩けないだろ。」


あ、なるほど…


「自転車どうするかなー、まあいいか。」


見た感じ、結構良いマウンテンバイクに見えますが…。


直人は、自転車を歩道の植え込みに立てかけると、万理香を抱いたまま駆け出した。


直人はそれきり、何も言わなかった。


古びた日本家屋の軒先に着くまでの間。


何も。。。


万理香は、打ち付けてくる冷たい雨から逃れるように視線を彼の顔から、自分を抱くそのたくましい手に移していた。


それを見ていると、何だか顔が熱くなった。


『馬鹿やろう!』


その怒鳴ってくれた声に、自分の中に渦巻いていたドロドロとした感情が少し濯がれた気がする。


だから、余計に気になるのだ。


健二と・・・この人との関係が・・・。
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