紅色に染まる秘密の恋(休筆中)

「………。」

一方で一人残された私は

その場で硬直していた。


すると

『……城咲。』

課長は突き返した私の企画書を

目の前で指でコンコンと軽く叩いた。


『…どうしてもっと
落ち着いて考えられないんだ?
わからなければ正直に
俺や赤羽や誰かに聞けばいい。
お前は中盤から無茶苦茶になって
そのまま突っ走るから
結局企画書全体が台無しになるんだ。
俺が線引いておいてやったところを
もう少し考え直してやり直せ!!』

さっきよりはトーンが落ちた口調ながら

私を鋭く睨みつけたままの課長に

「…すいませんでした。
やり直します。」

私は企画書を持って改めて謝罪すると

『…謝罪はいいから下がれ。』

課長はそう言って

私に席へ戻るように促すと

喫煙する為かオフィスを出て行った。


『『『………。』』』

嵐は去ったものの

オフィス内はシーンとなってしまい

突き返された企画書を捲りながら

針の筵のような気分に居た堪れず

キュッと目を閉じた時

『…また、城咲ちゃんと坂口か。
“鬼ピアス”のカミナリ落としたのは。』

私の後ろから男性の声がした。
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