およしなさいよ、うさぎさん。
 菖が「ひっ」と声をあげるより早く篤はその唇を塞いだ。
 ああ、やっと触れられた、と篤は目を細めて菖の髪結いをといた。
「せんせいは、今日(こんにち)より悪い男となりましょう。菖さんは悪い男につかまり、身体を弄ばれて、よごされてしまいます。そして、この家で私の子を沢山産まされ、死ぬまで私のおそばから離れることは赦されないのですよ。覚悟なさい」
 篤は遊郭で実戦を重ねてきた手腕で、いともたやすく菖の帯を緩めると畳に両肩を押し倒す。
「せんせ……っ嫌にございます」
「もう貴女のせんせいはやめましょうと言っているのです。篤と呼びなさい。私は菖と呼ばせていただきます」
 篤は煩わしいそうに自分の帯も緩めて、菖の首筋へ噛みつくように唇を這わせる。

「………あぁ、ぁ、篤さま……なりませぬ」

「菖、ゆるしてください。こうするしか方法が思いつきません」
「ああっ!」
 篤が両腕で思いきり着物の襟を開くと、菖の胸が飛び出した。発育途中の双方だが、つんと上を向き丸みを帯びていて、篤は誘われるがままにそこに顔を埋めると夢中でしゃぶりつく。
「はぁ……ぁあん」
 しゃくりをあげて、わあわあと泣いていた少女の声が女の艶っぽい声に変化した。篤はそれを嬉しく思い、裾から手をいれて足を撫でる。
「篤さま、おかしくなります。菖は変な声が出てしまいます」
「それでいいのです。菖、布団の上で結ばれましょう」
 腰に絡まった着物を引きずりながら菖を抱き上げた篤は板の廊下を歩き、乱暴に寝室の襖を開いた。開いた拍子に襖が外れたが、それを気にもとめずに布団に菖をおろして、その体に覆い被さる。
 絡まっていた着物と襦袢を脱がすと、一糸纏わぬ少女の裸体をじっと視姦する。
 女の体は遊女のものしか知らない篤は舌なめずりをして菖を見つめた。
「ちょっと見せてごらんなさい」
「きゃあ! おやめください!」
 篤は菖の言葉など聞きもせずに細い足首を掴み、天井の方へと持ち上げた。開いた股の間には見たこともないほど美しい性器があらわれる。
 遊女のそこは黒ずんでいて育ちすぎた貝のように無様な醜態をしていたのに、菖のそこは美しい白い貝殻だ。ほんのりと開いた中は薄い紅色をしている。
 今まで一度も女の性器を手で触れようと考えたことがなかった篤だが、ゆっくりと指でなぞり開いた隙間を広げてみた。
「篤さまっ!」
 菖の悲鳴に驚き体をびくんと揺らした。見ると少女は大粒の涙を流しながら嫌がっている。

「菖は、篤さまが恐ろしいです……」

 菖にとって教師として教鞭をふるっていた篤の姿は堅実な青年という印象だった。先程、牛鍋をすすめてくれた篤も、優しくて頼もしい男に見えた。それなのに、今の篤は息を荒げて目は鬼のように充血して見えた。
「御免、菖を恐がらせるつもりはないのです」
 篤は足首を握りしめていた手を緩めて、細い裸体を抱き起こし膝の上にのせて抱きしめた。背中に腕をまわして、肩に唇をつけて体を密着させる。
 子を宥めるように菖の体を優しく揺すり、涙で湿った頬を指の背で撫でる。

「菖、綺麗なお顔をこちらへ向けてください」

 か細い蝋の光で照らされる顔はひどく怯えていて、逆にその表情が篤には説明のつかない何かを奮い立たせる威力があった。
「嗚呼、菖……恐がらせて本当にすまないと思っている。しかし、私にはもう我慢ができそうにない」
「……ひゃあ!」
 菖の悲鳴が儚く散る中、篤は痛いほど腫れ上がった己の欲望を菖に沈める為の準備を始める。
「篤さま、痛いです!」
「わかるよ。とても痛そうだ。だけど、膝をついて私の動きに体を合わせなさい」
「……はい」
 篤は人差し指の第二関節までを時間をかけて挿入し、そして三回ほど抜き差しを繰り返してみた。
 菖は痛がるばかりだけでなく、凛とした表情で篤から言われた事をなさろうと膝に力を入れて自分の力で耐えているようだ。
 その健気な姿に篤はよりいっそう菖を愛らしいと感じて、唇と唇を合わせてみた。
「とく……さまぁ……」と鳴く可愛い声に「なんだい?」と優しい声が出た。
「菖の体はおかしくなりそうです。体の……お腹の奥から熱いものが漏れてしまいそうで……篤さまのお布団を汚してしまうかもしれないのです」
 篤は、人差し指を奥まで、ズッと突き入れてみた。
「あぁあ……!」
 菖の声が変化したのを確かめながら、篤は指を引き抜き、また最初からズズッと奥へと突き入れる。
「あぁああぁあ!」
「菖……」
 細くそれでいて白い腰に腕を回して、菖が逃げていかないように抱き寄せる。
「布団など新しいものを買えばいいのです。町の行商人に依頼して、二人で眠れる大きな布団を買いましょう」
「でもぉ……でもぉ……」
 篤は、何度も何度も抜き差しを繰り返し、そしてある一点を触ると確実に菖が甘い声をあげる場所を探り当てた。
 指からは甘酸っぱい香りのする液が滴り、篤の手首までたれてきていた。
「菖の液が私に付着して、蝋の火があたり光ってみえます」
 ああ、そんなに? と吐息混じりに答えた菖はそのまま力を失い、だらしなく篤の肩に寄りかかるとぐったりとした。
「どうなさいましたか? 菖」
 菖は肩で呼吸をしながら、はあはあはあ、と返事ができずに首を左右に振った。

 篤は、優しく菖を布団に寝かせる。先程はとても嫌がっていたので諦めたが、力の抜けた菖は大人しく、もう涙を流していないので、篤は指で陰部を弄びながら、そこの観察を再開した。



< 2 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop