今年の夏休み

岡田ん家

店の裏で2時間ほど段ボールを潰したり、畳んだりしてから、
店に入って、ペットボトルや缶ジュースなどの商品を並べる。
どっちも単純作業だけど、自分なりにルールを決めながらやると
ゲームをクリアしていくような楽しさも生まれて、そんなに嫌じゃない。
整列したように並べられた商品は美しいしく、
腰に手を当てて、見惚れていたら
「ようっ!」と後ろから声をかけられた。
振り返らなくても、声でわかる。

岡田だろ?どうせ。


「どうよ?労働者くん」
「何だよ、冷やかしに来たんなら帰れよ!邪魔、邪魔」
「お客様に向かって邪魔とはないだろう?」


スナック菓子と炭酸のペットボトルが入ったビニール袋を持ち上げ、岡田が非難する。


「ハイハイ、申し訳ございませんでしたよ。お買い上げありがとうございました。出口はあちらですのでッッ」
「冷たいなぁ、親友」
「誰が親友だよ、勝手に実行委員なんて立候補しやがってよ」
「まだ根に持ってんの?」
「あれのせいで俺の楽しい夏休みが…」
「まぁまぁ、でさ、ここ何時に終わるわけ?」
「あと1時間くらいだけど」
「じゃあさ、終わったらうちに来ねえ?」
「いいけど」
「んじゃ、うち先に帰ってっから。また後で」
「おう」


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