佐藤くんは甘くない
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そして、帰り。
先生の長ったらしい恋愛話を聞かされたあと、STを終えて用具を片付けていると、
「じゃ帰るか、結城、朝比奈」
いつの間にかやってきた瀬尾が、ぺしゃんこの鞄を掛け直しながらそういってくる。
「……あー」
いつも私と瀬尾は家が近いし、ひまりちゃんとも方向は一緒だから食べ買いとかしながら帰ってるけれど。
ちらり、と真ん中の席を窺う。
佐藤くんは無表情でどうやらノートを開いて勉強をしているらしかった。
……たぶん、教室にみんながいなくなるまで話しかけないほうがいいよね。あの雰囲気は。
「まだ日直の仕事終わってないし、さき帰ってていいよー」
「そっか?まあ頑張れよ」
私が笑うと、瀬尾はなんだか釈然としない感じでひまりちゃんと教室を出て行った。