佐藤くんは甘くない
怖すぎて、私は直立したまま、佐藤くんの動作に目くばせするくらいしかできない。指を一本でも動かしたら、何をされるかわからないほど殺気立った瞳だった。
私、あの女の子が憧れるだろうシチュエーションをしてもらえるんじゃないの!?
別の意味でドキドキしてるんですけど!?
佐藤くんは、木箱の中から半透明な青色のガラスであしらった指輪を抜き取ると、私のほうへ歩いてくる。
そして、流れるような自然な動作で私の前に跪く。そして、私を見上げるように上目づかいで見る。口元には優しげな笑み。
さっきまであんなびくびくしていたのに、今までのどの佐藤くんとも当てはまらない大人な微笑みに、体温が上昇していく。……こんな風に笑いかけられたら、絶対惚れちゃうよ、誰だって。
佐藤くんは左手ではなく、右手を掬い取るように目の前に持って行く。
「……右手?」
私がそういうと、佐藤くんがきょとんと目を丸くする。それから、すっと目を細めると、余裕を含んだ笑みで、
「いいの?俺で」
と聞いてくる。
……えっと、それは、……つまり。
考えるまでもなく、私の頬が熱くなるのを感じた。
ああっ、もう私は何を!
佐藤くんは気を使って左手じゃなくて、右手に変えくれたんだ。恥ずかしすぎる……ああもう、私のばかぁ……。