佐藤くんは甘くない


恥ずかしすぎて、頭に血が上ってしまいそう。


「も、もういいよ……っ」


思わずそう口走って、添えられた手を引き抜こうと、腕を後ろに下げようとして───






「───だめ」




ぐっと、佐藤くんが私の手を掴んで自分のほうに引き寄せる。


ああ、もう、やめてよ。

そんな目で、私を見ないで。触れられたところが熱すぎて、溶けて消えてしまいそう。


破裂しそうな心臓を押えようと、向けられる視線から顔をそらして、ぎゅっと瞳をつむる。震える手をそっと、握りしめて佐藤くんが、少しだけ寂しそうに、言ってのける。


「ちゃんとお詫び、させてよ」



「……」


そんなこと、言われて。

嫌だ、なんて言えないこと……佐藤くんは知らないんだ。


本当に、佐藤くんは意地悪だ。そして、私も大ばか者だ。

佐藤くんの言う一言一言に、一喜一憂するしてしまうのだから。


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