17歳の遺書
知らない間に病院についていて、重い足取りで、靴をぺたぺたさせながら歩く。






こうでもしていないと、
すっかり暗くなった病院は
俺の心と丸かぶりで、心が押しつぶされそうになったから。








ナースステーションにもあまり人はいなくて、気づかれないようにそこだけは静かに歩く。







.......ガラガラ



自分の部屋のドアを開ける。










『おかえり。』




ん?誰???





『楽しかったですか??おデートは。』





と俺に声をかけるのは先生で、
声には少しだけ怒りがこもってて、
こわい。





『はい。楽しませていただきました。』






『ははっっ!ならいーよ。』




先生は笑って俺の肩をたたいてドアに向かっていく。









『明日も遅れないように、あったかくして寝なさいよ。』




振り返っていう先生はお母さんみたいで、なんか、なんか、なんとも言えない気持ちになる。





『はーい。』


とまぁ、素直に返事をして、ベットに入る。



『おやすみ。』

とはいったものの、今日の出来事でまだ寝れそうにない。






何気なく開けた引き出しの中にはいつの日か買った便箋のセットが入っていて、
それを取り出す。





引き出しの中には美帆のお母さんから受け取った手紙も入っていて、
それを見てふと思う。






なにか残さなきゃ。

俺が生きた証。




最初から、遺書は書こうと思っていたんだけど、最近迷ってた。





美帆をずっと苦しめることになるんじゃないかと思って。







これがずっと美帆を縛り付けて、
傷つけてくんじゃないかなって、思って。





このさきもずっとずっと俺は一途に美帆を愛してて、
だから同じように美帆も愛して欲しい。







俺がいなくなって、それでも美帆の心の真ん中じゃなくても、すみのすみっこでいい。




美帆のこころにいたい。






俺のこんなわがままがずっと美帆を傷つけるかもしれない。
それでも、叶えてし欲しいと思う俺は





なんて傲慢でカッコ悪いのだろう。







俺が決めた一つの約束とわがままを込めて、精一杯の愛で、気持ちで










俺はその日、遺書をかいた。
美帆だけじゃなくて、いままで支えてもらったたくさんの人に向けて。








思い出で浮かんでくるのは全部幸せはことばかりで、俺はこんなにも幸せで溢れていたんだなっと思うと涙が止まらなかった。






全部書き終わった時には3時過ぎになっていて、早く寝ようと思って、
服も着がえず、目を閉じた。







『.......ありがとう。』





その日の夢は幸せで、俺のわがままも、
俺の思いも全部伝わってて...





俺と美帆は思いっきりの笑顔で笑ってた。






< 78 / 181 >

この作品をシェア

pagetop