17歳の遺書
バスに乗れば寒くないだろうと出した手もまたポケットにしまう。
バスは思ったよりも寒くて、
南はマフラーに顔をうずめている。
俺は暖かくなった手を南の手に重ねる。
『え??どうしたの?』
南は目を丸くして驚いている。
そりゃびっくりするよな。ごめん。
『寒いんでしょ?』
南は鈍感なのか、鋭いのか、全然わからない。
人の気持ちは読み取るのがとっても上手なのに、こういうことにうといなんて、
だけど、すぐにまた俺の好きなおっきな笑顔で笑う。
『ありがとね。すっごくあったかい!』
『あのさ、、、』好きだわ。
出かかった言葉を飲み込む。
危ない危ない、雰囲気ぶち壊すとこだった。
『ん?なにー??』
俺の方を向いて聞いてくる。
『なんにも、また今度言うわ。』
自分にもいい聞かせるように言った。
明日、絶対告白してやる。
南のうちの近くのバス停が次だったので、降ります、というボタンを押す。
『手ー、おっきいね。』
『そうか?ふつうじゃね?』
『えー、おっきいよ!、私さ、手がおっきい人ってすごくいいなって思うんだよねー。』
前に、女に言われたことがある。
手がおっきくて、かっこいい。
なにがかっこいいのか全然わからなかった。
だけど.....南だけは違う。
そのことばは何度も繰り返されて、
手が大きいのが嬉しくて、
自分の手をじっと眺めた。
すっごくいい....ってどういういみ?
好き?って意味?恋愛?友達?
聞きたいことはたくさんあって声には出せない苦しみで喉が詰まる、
歓楽寺前〜歓楽寺前〜。
というアナウンスが流れたので、
立ち上がり、降りる。
離した右手が、冷たく寂しく泣いているように見えた。