方言男子に恋をした
そんなことを口に出せるわけもなくポカーンとした表情で二人を見つめる。


「では本当に0なんですね?」

「信じてくれないなんて悲しいなー。本当に仕事は0。会議を残すのみだってーー」


迫る清水さんに両手を挙げて降参と表現した今野常務が言いかけた時。

コンコンとリズム良くノックがされた。


「はい、どうぞ」


顔色一つ変えず今野常務が言った。
その声に合わせて、「失礼します」と一人の女性が入ってきた。


「氷室室長、どうかした?」


清水さんに劣らず綺麗な女性。
その人こそ秘書室の頂点に立つ、氷室室長だった。

私も何度かお会いして挨拶もしてきた。
しかしいつ見てもそのオーラは素晴らしい。

それより…いつも思うけどこの人は一体何歳なのかしら。
色んな部署を渡り歩いてきたっていうのを聞いたことがあるけど…。


「今野常務、ほんの少し清水さんをお借りしても?」

「ああいいよ。そんなに長くはならないでしょう?」

「ええ」


またも取り残された私だが、これだけは分かる。

…しばらく今野常務と二人きりではありませんか!
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